当院の理念
当院は、『小動物診療を通じて人の心
患者であるペットだけでなく、
飼い主さんの心理的負担を
”緩和ケア”は欠かせないものと
私が獣医師として、多くの動物と飼い主さんと接してきた中で、最も強く深く心に刺さっている言葉です。
当時の私は「病気の動物を絶対に治すんだ」という気持ちに逸り、また飼い主さんを鼓舞して治療を行っていました。もちろんそれは獣医師としてあるべき姿勢で、その熱意で救える命がある事実に変わりありませんし、そうやって医療は発展し続けています。それでも全ての命はどこかで終わりを迎えるのも避けられない宿命で、一生懸命に私の方針についてきてくれた飼い主さんが看取りの後に仰った言葉が「こんなにツラいならもう動物は飼いたくない」でした。
私は”病気を治す”だけを善しとし、飼い主さんの心情に配慮していなかったことに気づきました。『小さな家族がつらい症状や治療に耐えながら闘病している姿』は飼い主さん自身にもとても心苦しいもので、もし一緒に過ごした十数年の楽しい思い出より大変な闘病が記憶に刻まれたなら、今でもとても申し訳ない気持ちになります。
それを機に、私は『動物と飼い主さん双方の幸せ』を意識し、『より良く生きる』にはどうするのが良いかを考え続ける過程で、【緩和ケア】に取り組んでいる次第です。